崎谷研究所長 崎谷医師

アトピー性皮膚炎や膠原病による炎症性皮膚炎、敏感肌などの問題は、この最大の防御である皮膚の石垣を壊してしまう可能性があることです。

アトピー性皮膚炎などでは痒みが強いため、無意識に皮膚を引っ掻いてしまいます。せっかくの石垣を壊してしまうのですから、そこから満を持してバイ菌が素通りします。そして健康な皮膚には常在菌といういわゆる善玉菌がいます。この善玉菌は皮膚についた悪玉菌やウイルスなど監視しています。

私たちの体には絶えず外界から異物、ウイルス、細菌が侵入の機会をうかがっています。私たちの祖先である細胞にもミトコンドリアという細菌が侵入(融合)したことで、人間という複雑な生き物に進化することが可能となりました。

しかし、私たちの原始細胞から進化した生命体は、外界からの異物の侵入をそうやすやすと許す戦略はとりませんでした。それは、外界からの異物の侵入を無制限に受け入れると、私たちの生命維持に都合の悪いことが起こるからです。栄養を奪われたり、毒物で細胞がつぶれたり、細胞がガン化したり、生命の維持にとって不利益が多くなります。

さて、その外界の異物の侵入に対して最大の防御とは何でしょうか?
実は、表面にある皮膚が最大で最強の防御機構です。

皮膚の表面は通常酸性で、乾燥しています。そして温度も体温にくらべて少し低いために細菌の増殖には向いていません。また、幾層もの細胞で形成されているため異物はなかなか奥深くまで侵入できません。頑丈なお城の石垣みたいなものです。

最表層では死んだ細胞が常に短期間で入れ替わっています。そのため感染したりダメージを受けたりした細胞は速やかに皮膚が剥がれることで異物の定着ができないようになっています。実際に健康な皮膚を貫通して侵入してくる病原菌は、今のところ見つかっていません。その頑丈な皮膚から異物が侵入できるチャンスは一つしかありません。それは皮膚の石垣を壊されていること。つまり、表面に皮膚の細胞がことごとく死んでしまうことです。

皮膚に傷をつくった場合は、バイ菌やウイルスが喜んでフリーパスです。アトピー性皮膚炎や膠原病による炎症性皮膚炎、敏感肌などの問題は、この最大の防御である皮膚の石垣を壊してしまう可能性があることです。アトピー性皮膚炎などでは痒みが強いため、無意識に皮膚を引っ掻いてしまいます。せっかくの石垣を壊してしまうのですから、そこから満を持してバイ菌が素通りします。

そして健康な皮膚には常在菌といういわゆる善玉菌がいます。この善玉菌は皮膚についた悪玉菌やウイルスなど監視しています。ステロイド、石鹸やボディソープなどを使うと、バイ菌だけでなく善玉菌も死んでしまいます。さらにゴシゴシと体を摩擦させて洗うと、皮膚の石垣が剥がれ落ちてしまいます。善玉菌は死ぬは、石垣は壊れるはでは、細菌やウイルスの思うつぼです。

風呂で体を洗うときは、少量の石鹸でよく汗が出る分部のみを洗い、あとはお湯でサッと流すだけでよいです。足の裏や指の間、陰部、脇の下、顔面は、毎日洗ってもよいですが、それでも軽めにしてください。その他の体の部分はお湯で軽く流し、保湿するだけで十分です。欧米人は日本人のようにゴシゴシ体を洗うことはありません。皮膚の防御という面では、むしろゴシゴシ洗わない欧米人の方が清潔で理にかなっているのです。

皮膚は私たち生物が作った異物の最大の防御機構ですので、皮膚のケアは大切です。外界からの異物、ウイルス、細菌から肌を守るためにも、正しいスキンケアを必ず行って下さい。

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